実際に作品を注文するに当たっての注意事項。

注文する刀鍛冶が決れば先ず連絡を取ります。できる事なら刀鍛冶の仕事場まで出向き、少しお話をしてみましょう。刀は安い買い物では有りませんし、他に比べて思い入れの強い工芸品でも有りますから、注文した刀をどんな刀鍛冶が作るのか、ちょっと確かめてみたい気もしますよね。それから後、希望の作風や刀剣類の種別・寸法となどを告げて注文を受けてもらえるか、それから、肝心の価格などを聞いてもいいですよね。

また、多くの刀鍛冶は、出来上がった刀を、研上がりで白鞘に入れた状態で依頼主に渡しています。価格には、総ての工作費が含まれている場合が多いですが、各々の刀鍛冶により条件が異なる場合も有りますから、受け渡しの段階で打ち下しなのか、研上がりで白鞘に入れた状態なのか、拵えまでつけるのか、刀を納める桐箱などの付属品の事なども聞いておきましょう。初めて刀を購入する場合など、運が良ければ手入道具のセットを付けてくれる場合なども有りますよ。細々した事もお互いに勘違いがないように、最初に確認しておくことをお勧めいたします。

それから、この世界では、殆ど契約書などを作らないのが普通ですが、できれば、簡単な契約書の様なものを作っておくのもよいかも知れませんね。

私の場合ですと、まず、依頼主の御希望の形状や寸法を聞きながら、作品のおおまかな方向を決めます。そしてそれを元に見積りの値段を出し、条件が折り合えば、見積りの値段の3分の1の着手金を頂き製作にかかります。この着手金は作品の研代や鞘代の一部に当てられます。私はこの時、御注文の内容を書いた「御注文控」を作りお渡しするようにしています。

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